人事労務の法改正カレンダー2026〜2028|会社がやることを施行日順に整理
2026年から2028年にかけて施行される人事労務の主な法改正を、施行日の順に一覧にしました。すでに施行されたものは「まだ対応していなければ確認すること」、これから施行されるものは「会社が準備すること」をまとめています。内容は厚生労働省、日本年金機構、こども家庭庁、消費者庁、協会けんぽ、労働局の資料で確認したものだけを載せ、施行日がまだ決まっていない改正は載せていません。
法改正カレンダー(一覧)
「状況」は2026年11月7日時点です。
| 施行日 | 改正の内容 | 主な対象 | 状況 |
|---|---|---|---|
| 2026年1月1日 | 労働安全衛生法:登録教習機関・検査業者への不正対処、欠格要件の強化 | 登録教習機関・検査業者など | 施行済み |
| 2026年3月分(4月納付分) | 協会けんぽ広島支部の健康保険料率 9.97%→9.78%、介護保険料率 1.62% | 協会けんぽ広島支部に加入する事業所 | 施行済み |
| 2026年4月1日 | 在職老齢年金:支給停止の基準額が65万円に | 年金を受けながら厚生年金に加入して働く人 | 施行済み |
| 2026年4月分(5月納付分) | 子ども・子育て支援金の徴収開始(支援金率0.23%) | 健康保険(被用者保険)に加入する事業所 | 施行済み |
| 2026年4月1日 | 女性活躍推進法:男女間賃金差異・女性管理職比率の公表が義務に | 常時雇用する労働者101人以上の企業 | 施行済み |
| 2026年4月1日 | 高年齢労働者の労働災害防止、治療と仕事の両立支援(いずれも努力義務) | すべての事業者 | 施行済み |
| 2026年7月1日 | 障害者の法定雇用率 2.5%→2.7% | 常時雇用する労働者37.5人以上の企業 | 施行済み |
| 2026年10月1日 | カスタマーハラスメント・求職者等へのセクハラの防止措置が義務に | すべての事業主 | 施行済み |
| 2026年10月1日 | 同一労働同一賃金ガイドラインの改正、雇入れ時の明示事項の追加 | パート・有期・派遣で働く人を雇う事業主など | 施行済み |
| 2026年10月1日 | 社会保険:賃金要件(月額8.8万円)の撤廃、保険料調整制度の開始 | 社会保険の適用事業所(短時間労働者は従業員51人以上の企業など) | 施行済み |
| 2026年10月11日 | 広島県最低賃金 1,085円→1,141円 | 広島県内のすべての事業場 | 施行済み |
| 2026年12月1日 | 公益通報者保護法の改正(罰則の新設、通報者の範囲拡大など) | すべての事業者(体制整備の義務は常時使用する労働者300人超) | これから |
| 2027年1月1日・4月1日 | 労働安全衛生法:個人事業者等の安全衛生対策(一部) | 個人事業者等、個人事業者等に仕事を発注する事業者など | これから |
| 2027年4月1日 | 労災保険法の改正(遺族補償年金の要件の見直しなど) | 労災保険の給付を受ける人と遺族 | これから |
| 2027年10月 | 社会保険:短時間労働者の企業規模要件を従業員36人以上に | 従業員36〜50人の企業 | これから |
| 2028年4月1日 | ストレスチェックの実施が労働者50人未満の事業場にも義務に | 労働者50人未満の事業場 | これから |
| 2028年10月1日 | 雇用保険:週の所定労働時間10時間以上で加入 | 雇用保険の適用事業所 | これから |
2026年4月までの改正(施行済み)
健康保険料率の変更と子ども・子育て支援金の開始
協会けんぽ広島支部の健康保険料率は、令和8年3月分(4月納付分)から9.78%です(令和7年度は9.97%)。全国一律の介護保険料率は1.62%です。
令和8年4月分(5月納付分)の保険料からは、子ども・子育て支援金の徴収が始まりました。被用者保険の支援金率は全国一律の0.23%で、支援金の額は標準報酬月額×支援金率です。基本的に半分を会社が負担します。
- 確認すること:給与計算の保険料率(健康保険・介護保険)と、支援金率0.23%の設定。支援金は4月分の保険料(5月の給与で控除)からです
在職老齢年金の基準額が65万円に
60歳以降に厚生年金に加入しながら受ける老齢厚生年金は、賃金と年金額の合計が基準額を超えると、超えた額の半分が支給停止されます(老齢基礎年金は全額支給)。令和8年度の基準額(支給停止調整額)は65万円です。
- 確認すること:年金を受けながら働く従業員と賃金や働き方を話し合うときは、基準額65万円で考えます
女性活躍推進法:101人以上の企業は賃金差異と女性管理職比率を公表
令和8年4月1日から、常時雇用する労働者が101人以上の企業は、「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の公表が必須になりました(301人以上の企業は男女間賃金差異の公表が令和4年7月から義務)。101人以上の企業には、もともと一般事業主行動計画の策定と労働局への届出の義務があります。
- 確認すること:公表の準備。厚生労働省は、公表先として「女性の活躍推進企業データベース」への掲載が最も適切としています。有価証券報告書だけの公表では義務を果たしたことになりません
高年齢労働者の労災防止・治療と仕事の両立支援(努力義務)
改正労働安全衛生法により、高年齢労働者の労働災害防止に必要な措置が事業者の努力義務になり、国が指針を公表しています。また、改正労働施策総合推進法により、職場における治療と仕事の両立を進めるための措置が事業主の努力義務になりました。いずれも令和8年4月1日施行です。同じ日に、個人事業者等を含む作業での災害防止など、注文者等が講ずべき措置も強化されています。
2026年7月〜10月の改正(施行済み)
障害者の法定雇用率が2.7%に
令和8年7月から、民間企業の法定雇用率は2.7%、障害者を雇用しなければならない企業は常時雇用する労働者37.5人以上になりました。対象の企業には、毎年6月1日時点の障害者雇用状況のハローワークへの報告と、障害者雇用推進者の選任(努力義務)があります。
- 確認すること:自社の雇用すべき人数(労働者数×2.7%)。令和8年6月1日時点の報告は2.5%で確認されました
- 障害者雇用納付金の対象の企業は、令和8年度分(申告は令和9年4月1日〜5月17日)を6月以前は2.5%、7月以降は2.7%で算定します
カスタマーハラスメント・求職者等へのセクハラ対策が義務に
令和8年10月1日から、規模を問わずすべての事業主に、カスタマーハラスメント(顧客等からの著しい迷惑行為)と、求職者・インターンシップ参加者などへのセクシュアルハラスメントを防止する措置が義務付けられました。厚生労働省のリーフレットでは、主に次の措置が示されています。
- カスハラには毅然と対応し、労働者を守るという方針を決めて、労働者に知らせる
- カスハラの内容と、あらかじめ決めた対処(一人で対応させない、犯罪に当たり得る言動は警察に通報する など)を労働者に知らせる
- 相談窓口を決めて知らせ、担当者が適切に対応できるようにする
- 起きたときは事実を迅速に確認し、被害者への配慮と再発防止を行う。特に悪質なものへの対処方針と体制も決めておく
- 求職者等へのセクハラは、行ってはならない方針と処分を労働者に知らせ、面談の時間・場所、やり取りに使うSNSなど、採用活動のルールを決めて労働者と求職者等に知らせる
- 相談者のプライバシーを守り、相談や協力を理由に不利益な取扱いをしないことを決めて知らせる
同一労働同一賃金ガイドラインの改正と明示事項の追加
令和8年10月から、同一労働同一賃金ガイドラインに、賞与、退職手当、無事故手当、家族手当、住宅手当、福利厚生施設、病気休職、夏季冬季休暇、褒賞の記載が加わりました。また、パート・有期で働く人の雇入れ時や、派遣労働者の派遣時に、「待遇の相違の内容・理由等の説明を求めることができる旨」を明示することが必要になりました。
- 確認すること:パート・有期の方に渡す労働条件通知書に、この明示が入っているか。正社員との手当や休暇の違いと、その理由を説明できるか
社会保険:賃金要件(いわゆる106万円)の撤廃と保険料調整制度
令和8年10月1日に、短時間労働者が社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入する要件のうち「所定内賃金が月額8.8万円以上」が撤廃されました。従業員51人以上の企業などでは、週の所定労働時間が20時間以上で、学生ではなく、2か月を超えて雇用される見込みの短時間労働者は、賃金の額にかかわらず加入の対象です。最低賃金の減額特例の許可を受けて月額8.8万円未満の方は原則対象外で、本人の申出で加入できます(事業主の同意は不要)。
同じ日に、適用拡大で新たに適用事業所となった比較的小規模な事業所の短時間労働者について、保険料の負担を軽減できる「保険料調整制度」も始まりました。
- 確認すること:週20時間以上働く短時間労働者が、賃金の額を理由に未加入のままになっていないか
広島県最低賃金が1,141円に
広島県最低賃金は令和8年10月11日から時間額1,141円です(改正前1,085円)。月給の場合の確かめ方は広島県の最低賃金の解説をご覧ください。このほか令和8年10月1日には、化学物質の個人ばく露測定を作業環境測定の一つとして位置付ける改正も施行されています。
これから施行される改正と会社が準備すること
2026年12月1日 公益通報者保護法の改正
改正公益通報者保護法が令和8年12月1日に施行されます。消費者庁の資料による主な内容は次のとおりです。
- 公益通報を理由に解雇・懲戒をした者に刑事罰(6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金。法人は3,000万円以下の罰金)
- 通報から1年以内の解雇・懲戒は、通報を理由とするものと推定される
- 業務委託関係にあるフリーランス(終了後1年以内を含む)も保護の対象に
- 正当な理由なく、通報しない旨の合意を求めるなど通報を妨げる行為、通報者を探す行為を禁止
- 常時使用する労働者が300人超の事業者(300人以下は努力義務)は、通報対応の従事者の指定と体制整備が義務。体制を労働者等に知らせる義務が明示され、従事者指定の義務違反には命令や罰則が設けられた
- 準備すること:内部通報の窓口と規程の見直し、窓口や通報者を守る仕組みの周知(フリーランスへの周知を含む)、管理職への説明
2027年1月・4月 労働安全衛生法(個人事業者等)と労災保険法
改正労働安全衛生法のうち、個人事業者等自身が講ずべき措置(安全衛生教育の受講など)や業務上災害の報告制度などは、令和9年1月1日または4月1日に施行されます。個人事業者等と同じ場所で作業がある会社は、確認が必要です。
改正労災保険法は令和9年4月1日に施行されます。遺族補償年金を受けられる夫の年齢などの要件の削除、性質上判断が難しい一部の疾病について保険給付を受ける権利の時効を2年から5年に延ばすこと、特別加入団体の要件の法定化などです。
2027年10月 社会保険の加入対象が従業員36人以上の企業へ
短時間労働者が社会保険の加入対象となる企業の範囲は、段階的に広がります。従業員数は、厚生年金保険の加入対象者(フルタイムの従業員と、週の所定労働時間がフルタイムの4分の3以上の従業員)で数え、1年のうち6か月以上、基準を超えることが見込まれる企業が対象です。
| 時期 | 対象になる企業(従業員数) |
|---|---|
| 2027年9月まで | 51人以上 |
| 2027年10月から | 36〜50人 |
| 2029年10月から | 21〜35人 |
| 2032年10月から | 11〜20人 |
| 2035年10月から | 10人以下 |
また2029年10月からは、常時5人以上を使用する個人事業所は業種にかかわらず社会保険の適用対象になります(2029年10月時点ですでにある事業所は、当分の間対象外)。
- 準備すること:自社の従業員数がどの時期に当たるか、週20時間以上働く短時間労働者が何人いるかを確認し、会社の保険料負担を見込む。加入の要件と手続きはパート・アルバイトの社会保険加入要件で説明しています
2028年4月1日 ストレスチェックが50人未満の事業場にも義務に
これまで努力義務だった労働者数50人未満の事業場にも、ストレスチェックの実施が義務付けられます。施行期日は令和10年4月1日です。対象者は常時使用する労働者(定期健康診断と同じ)で、1年以内ごとに1回実施します。厚生労働省は、50人未満の事業場向けの実施マニュアルを公表しています(令和8年2月)。
2028年10月1日 雇用保険の加入が週10時間以上に
雇用保険の加入要件のうち、週の所定労働時間が「20時間以上」から「10時間以上」に変わります。新たに加入する人も、基本手当、教育訓練給付、育児休業給付などを、いまの被保険者と同じように受けられます。
- 準備すること:週10時間以上20時間未満で働く人を把握する
よくあるご質問
従業員が少ない会社でも対応が必要な改正はどれですか?
カスタマーハラスメント・求職者等へのセクハラの防止措置(2026年10月)は、規模を問わずすべての事業主の義務です。ストレスチェック(2028年4月)と雇用保険の加入要件(2028年10月)も、規模の小さい事業場に関わります。社会保険の加入対象は、2027年10月以降、企業規模に応じて順に広がります。
施行日がまだ決まっていない改正は載っていますか?
いいえ。このページには、施行日が公的資料で確認できた改正だけを載せています。新しい情報は「人事労務の最新情報」でもお知らせしています。
当事務所では、法改正に合わせた就業規則・規程の見直し、ハラスメント研修、社会保険・労働保険の手続きをお受けしています。
関連ページ:就業規則の作成・見直し/労務顧問/ハラスメント研修/同一労働同一賃金/「年収の壁」2026年版
出典
- 厚生労働省関係の主な制度変更(令和8年10月)について|厚生労働省(2026年11月7日閲覧)
- 職場におけるハラスメントの防止のために|厚生労働省(2026年11月7日閲覧)
- 令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます!(リーフレット簡易版)|厚生労働省(2026年11月7日閲覧)
- 2026(令和8)年10月に社会保険の短時間労働者に係る賃金要件が撤廃されました|日本年金機構(2026年10月1日更新、2026年11月7日閲覧)
- パート・アルバイトの方への社会保険の適用について|厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト(2026年11月7日閲覧)
- 個人事業所で働く方への社会保険の適用について|厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト(2026年11月7日閲覧)
- 年金用語集 在職老齢年金|日本年金機構(2026年4月1日更新、2026年11月7日閲覧)
- 子ども・子育て支援金制度について|こども家庭庁(2026年11月7日閲覧)
- 令和8年度広島支部の健康保険料率は、9.78%に決定(報道発表)|全国健康保険協会広島支部(令和8年2月19日、2026年11月7日閲覧)
- 女性活躍推進法特集ページ|厚生労働省(2026年11月7日閲覧)
- 障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について(リーフレット)|厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク(2026年11月7日閲覧)
- 労働安全衛生法、作業環境測定法及び労働施策総合推進法の改正について|沖縄労働局(2026年11月7日閲覧)
- ストレスチェック|徳島労働局(2026年11月7日閲覧)
- 公益通報者保護法と制度の概要|消費者庁(2026年11月7日閲覧)
- 改正概要(公益通報者保護法、法定指針)|消費者庁(2026年11月7日閲覧)
- 労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律の公布について(基発0717第2号)|厚生労働省(令和8年7月17日、2026年11月7日閲覧)
- 「雇用保険法等の一部を改正する法律」の改正内容|厚生労働省(2026年11月7日閲覧)
- 広島県最低賃金の改正について(報道発表資料)|広島労働局(令和8年9月11日、2026年11月7日閲覧)
令和8年11月時点の厚生労働省・日本年金機構・こども家庭庁・消費者庁・全国健康保険協会広島支部・各労働局の資料に基づく。施行日が決まっていない改正は載せていません。

